根本聡土地家屋調査士事務所

相隣関係とは


 土地は、私たちの生活の場であります。土地の所有者は、所有する土地を自由に利用することができます。土地の所有権の範囲は土地の上下にも及ぶとされています。ただし、法律や法令の制限内ということになります。相隣関係(そうりんかんけい)とは、隣りあった土地の間の法律的関係をいいます。
   
 民法によると建物は境界線から50cm以上隔てて建てなければならないことになっています。この規定による間隔は、相隣者の間で協議し合意すれば、狭くすることもできます。なお、これに異なる慣習のある場合はこれに従います。
 また、境界線から1m未満の距離において他人の宅地を観望することができる窓や縁側を作る場合は、目隠しを作らなければならないことになっています。この距離は、窓または縁側の最も隣地に近い点から直角に測って境界線に達するまでを計算します。なお、これに異なる慣習のある場合はこれに従います。
   
 袋地の所有者は、道路に出るために、周囲の土地に被害がもっとも少ない方法により、周囲の土地を通ることができます。
 具体的には、袋地と周囲の土地(囲繞地)の各土地の沿革、袋地を生ずるにいたった経緯、従前の通路および実際に行われてきた通行の状況、現在の通路および通行の実状、各土地の地形的、位置的な状況、相隣地利用者の利害損失など諸般の事情を考慮し、具体的な事情に応じて、最も適当な通行範囲を定めるべきといわれています。
 袋地の所有者は、通行する土地に生じた損害に対して補償金を支払わなければなりません。
 ただし、通路の開設のために生じた損害に対する補償金は一度に支払わなければいけませんが、それ以外の補償金は、1年ごとに払うことができます。
 ひとつの土地を分割又はその一部を譲渡したために、公路に出ることができない土地ができてしまったときは、袋地になった土地の所有者は公路に出るために、分割された他の土地のみ通行できます。この場合には補償金を支払う必要はありません。
    *公路とは、公道に限らず公衆が自由に通行できる私道も含みます
   
 隣の竹木などが入り込んだときの措置としては大きく分けて、木の枝の越境と木の根の越境の2つの場合があります。
 隣の土地の竹木の枝が、境界線を超えて出ているときは、竹木の所有者に境界線を超える部分を切り取るよう請求することができます。
 木の枝が越境してきて日常生活に支障があるような場合に、切り取らせるよう求めることができますが、竹木の所有者の承諾無しでは切り取ることはできません。
 隣の土地の竹木の根が、境界線を超えて出ているときは、その根を切り取ることができます。しかし、いきなり木の根を切り取ってしまうことは、紛争を自ら巻き起こすようなものです。相隣者にとっては大切な木かも知れません。所有者に木の根が境界を越えてる旨を告げ撤去を求めましょう。
   
 所有者が異なる2棟の建物があって、その間に空地があるときは、それぞれの所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲いを設けることができます。
 お互いの間の協議が成り立たないときは、高さ2mの板塀または竹垣にしなければなりません。板塀とか竹垣といっても、その内容は一通りではありませんが、この囲いは、普通に見られる囲いであると考えられます。
 囲いの設置および維持の費用は、相隣者が半分ずつ負担します。相隣者の一方は、板塀または竹垣よりもよいものを用い、または高さが2mよりも高い囲いを設けることができます。ただし、これによって増えた分の費用は自分で負担しなければなりません。
 どんなに高くても、またどんなに厚くてもよいわけではなく、隣地の日照・通風を不当に妨げたり、厚くして隣地使用を過大に妨げるものなどは常識的に考えても避けるべきでしょう。
   
 ところで、土地の所有者は、隣の土地との境界またはその付近に、塀や建物を作ったり、修繕するために、必要な範囲で隣の土地の使用を請求することができます。ただし、隣の住家の中には隣人の承諾がない限り、立ち入ることはできません。隣地に立ち入った際に隣人に損害を与え補償金を請求された場合は支払わなければならないことも覚えておいてください。

 自然に流れる水については、土地の所有者は、隣の土地から自然に水が流れてくることを妨げることはできません。水の流れが何らかの事情により低地においてふさがれてしまったときは、高地の所有者は自分の費用で、それを通すために必要な工事をすることができます。工事費用の負担について、特別の慣習があるときは、その慣習に従います。
 人工的原因で流れてくる水については、貯水・排水などのために設けた工作物が壊れたり、ふさがったりしたことによって、別の土地に損害をかけたり、または、損害をかけるおそれがあるときは、損害を受ける土地の所有者は、損害をかける土地の所有者に、修繕や水はけをさせることができ、必要なときは、損害を生じないように、予防工事をさせることができます。工事費用の負担について、特別の慣習があるときは、その慣習に従います。
 土地の所有者は、雨水が直接隣の土地へ注ぎ込むような屋根やその他の工作物を設けることはできません。


   

豆 知 識
相隣関係とは、相隣接する不動産の使用収益等について相互に調整することを目的とする法律関係をいい、隣人同士が守り合うための基準です。

建築基準法は、公共の福祉等の観点から耐久性・安全性の確保をするための規制等が定められ、強制力のあるものです。

不動産登記法、借地法、建物の区分所有権等に関する法律、建物保護に関する法律等は、土地や建物の権利関係を明らかにするものです。


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